底知れぬ習近平 ⑨米中首脳会談に置き去り日本外交

米中首脳が笑顔を浮かべる写真が配信されると、南シナ海での対立をフレームアップしてきた日本メディアは思考停止に陥った。

2016年10月号 GLOBAL [集中連載]

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上海から200キロほど離れた浙江省杭州は、町の中央に抱く西湖の優美さによって「地上の天国」と評されてきた。杭州知事を務めた北宋の詩人、蘇東坡は、西湖を最も深く愛した文人の一人だ。蘇東坡の目には、四季折々、朝夕ごとに異なる湖の表情が、伝説の美女、西施の美しさと重なって見えた。西湖と西施を相比べ、こんな句を詠んでいる。「淡粧濃抹総(すべ)て相宜(よろ)し(薄化粧だろうが厚化粧だろうが、どちらもふさわしく似合っていて素晴らしい)」蘇東坡が、西湖の浚渫で生じた泥で築いた長堤は「蘇堤」の名をとどめ、一大観光スポットとなっている。9月3日、杭州を会場とする主要20カ国・地域(G20)首脳会議に先立ち、ホスト役を務める習近平総書記がオバマ米大統領を招いたのが、蘇堤を間近に望む西湖国賓館だ。妖艶な絶景に囲まれ、両首脳の話し合いは夕食会を含め4時間近くに及んだ。こ ………

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