「大年増」ゴジラが咆哮する

2016年9月号 連載 [いまここにある毒]

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映画『シン・ゴジラ』は首相官邸のパロディーである。緊急事態の機能不全は福島原発事故が下敷きだろうが、これは菅政権? 安倍政権? 早口の官僚用語と複雑な官邸機構の役職名の洪水に、霞が関通はニヤリとする。62年前の初代と同じく品川など城南が蹂躙され、CGを駆使して蒲田駅や八ツ山橋などの実景に重ねるから、ポケモンGOのAR(拡張現実)さながら虚実の境がぼやけ、見慣れた空にゴジラの影がのし歩く錯覚に襲われる。怪獣映画の定石とはいえ、クライマックスは東京駅で大暴れ、赤煉瓦駅舎も丸の内高層ビル群もぶっ壊される。これまた小泉政権の都市再生本部に始まる「大丸有」(大手町・丸の内・有楽町)再開発が灰燼に帰すという見立てだ。まさか小池百合子都知事の誕生を見越したわけでもなかろうが、五輪と再開発でハコモノ利権が集中する東京に「女ゴジラ」がぬっと現れた。咆哮する口から ………

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