「腰痛離職」生む抱きかかえ介護

欧米では当たり前の「介護リフト」がなぜ普及しないのか。「よいしょ」介護は時代遅れ。

2016年8月号 LIFE

  • はてなブックマークに追加

介護保険の施行後、日本の介護現場は大きく変化し、レベルアップした。相部屋から個室へ転換、尊厳重視の考えから認知症の本人の声を聞き、高齢者虐待防止法も成立した。北欧の福祉先進国の施設を訪問しても、日本のレベルは遜色ない。だが、実は遅れた介護手法が一つ残っている。「抱きかかえる介護」だ。高齢者をベッドから車いすに移乗する際、車椅子からトイレの便座に移す時、あるいは入浴時に、「せーの」「よいしょ」と持ち上げて下ろす。1日に何回も多くの入居者に同じ動作を繰り返す。そのため、職員の腰痛が職業病として定着。職員が苦情を言えば、「技術が未熟」「腰痛が起きて一人前」と叱るベテラン職員が跋扈している。欧米では「働き手の健康と高齢者の安全を守るのは当然。できるだけ触らずに介護する」という考え方で多くの補助器具が開発され、移乗時には介護リフトを必ず使う。小さ ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。