「高浜延長」でも死線彷徨う原発

政府が策定した「電源ミックス」は姑息な辻褄合わせ。与野党が参院選で論戦避け、臭いものにフタ。

2016年8月号 BUSINESS [特別寄稿]

  • はてなブックマークに追加

原子力規制委員会は6月20日、運転開始から40年以上が経過した関西電力高浜原子力発電所1、2号機(福井県)について、最長20年の運転期間延長を初めて認めた。これを受けて「40年廃炉原則が骨抜きになった」、「老朽原発の運転延長が続出する」と盛んに報じられているが、本当にそうなのか。答えは「否」である。理由は四つある。第一に、そもそも高浜1、2号機がすんなり再稼働する保証はない。規制委は、蒸気発生器など1次系冷却設備の耐震確認作業の実施を、延長認可後に先送りし、「延命」をアシストした。さらに、電源ケーブル対策など膨大な追加工事が必要であり、その費用は2千億円を超える見込み。どんなに急いでも、高浜1、2号機の再稼働は3~4年先の話である。

「突然死」を免れただけ

第二に、訴訟リスクの高さ。大津地裁は今年3月、比較的新しい高浜3、4号機の運転差し止めの仮処分を決め、関電は稼働停止に追い込 ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。