「佐村河内の密室」とFAKE

2016年8月号 連載 [いまここにある毒]

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「いやはや、ケッサクなんだ。佐村河内守って素材が面白いから」。知人の映画プロデューサーの花マル付きの推奨で、評判のドキュメンタリー映画『FAKE』(森達也監督)を観た。カーテンを閉ざし、密室のようなマンションの一室に出入りするカメラ、バラエティー番組のTV画像、海外メディアの記者……それを迎える手話の妻、猫、息抜きに一服するベランダの風景と走り抜ける電車の轟音。作曲の代作問題で袋叩きに遭い、隠れ住まいの日常である。「聴覚障害詐称」の烙印への反論が、疑われた本人の出演の意図だったとしても、映像のいわば暴力に裏切られてしまう。追及されて不甲斐なく黙りこくり、豆乳をガブ飲みし、頬をポコポコ鳴らして曲を演奏してみせる隠し芸サービスが、巧まずして失笑を誘うのだ。監督に挑発されてシンセサイザーを買い直し、旋律を合成して“作曲”するが、音楽は残酷なほど正直だ。 ………

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