プーチンが「米国型」の中東介入

シリアに海空軍も投入。ウィーンなどでの外交攻勢も、大国回帰をめざす周到な伏線だ。

2016年1月号 GLOBAL

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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が決断したシリアへの直接的軍事介入はロシアの中東政策ではほとんど前例がない。45年にわたった冷戦時代もソ連は深く中東に関与したが、軍事顧問団や技術者の派遣に留め、軍を派遣したことはなかった。戦争の方法も目新しい。歴史的にロシアは戦闘の初日から地上軍を派遣してきた。今回は敵を爆撃しているのはロシア空軍であり、巡航ミサイルを撃ち込んでいるのはロシア海軍だ。シリアはロシアにとって初めての「米国型戦争」なのである。何がプーチンを動かしたのか。軍事介入の決定が下されたのは2015年初め、4年にわたるシリアの内戦でバッシャール・アサド政権が疲弊し、首都ダマスカスの陥落が目前に迫っているのがロシアの目にも明らかになった時点だった。

聖戦士のロシア帰還許さず

ロシアと同様、アサド政権を支援するイランは、中東地域での影響力拡大が行き過ぎ、米国など西側 ………

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