誰が為に「郵政」の鐘は鳴る

2015年12月号 連載 [いまここにある毒]

  • はてなブックマークに追加

11月4日、郵政改革法成立10年で日本郵政グループ3社が東証第1部に上場し、4代目社長の西室泰三氏(79)が小槌でゆっくりカン、カン……と鐘を鳴らすセレモニーを行った。誰(た)が為に、と呟きたくなる。3社とも人気は上々で、初日終値は売出価格を上回り、日経平均株価も連れ高になって、日本郵政も政府も証券界もご祝儀相場に安堵の息を漏らした。貝のように口を閉ざすのは、日本が範としたドイチェ・ポスト民営化のその後だ。過半のポストバンク株をドイツ銀行が保有してシナジー効果を期待したが、収益が低迷してついに株を手放す羽目に。ユーロ圏で唯一経済が好調のドイツにして、なお失敗の憂き目である。デフレ脱出にもたつく日本ならなおさらだろう。同日、東京に来ていた香港のファンド代表は「もちろん買ったが、親子上場に目をつぶったのは、成長力より割安だからさ」とクールだった。西室社 ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。