「TPP得失」アジアは米中二股

大筋合意にはしゃぐのは早い。中国に気兼ねしつつ、足元を見て自国の利は譲らぬしたたかさ。

2015年12月号 BUSINESS

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10月5日、アトランタ――。環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉12カ国の閣僚による共同記者会見は、緊張と熱気に包まれて始まった。中央に着席した議長役の米通商代表部(USTR)フロマン代表は、一呼吸おいてから「交渉決着」を宣言。その瞬間、客席の半分近くを埋めた各国の交渉チームから、熱い喝采が沸き起こった。笑顔で握手を交わし互いの労をねぎらっていた。例外がある。壇上に並んだベトナムとマレーシアの代表だ。口元に外交的な笑みを浮かべつつも表情は堅かった。なぜなのか……。ベトナムのブー・フイ・ホアン商工相は、報道陣からTPP交渉決着の意義を問われると、意外な発言を投げ返した。「ベトナムとマレーシアそしてブルネイも、TPPと同時にRCEPに参加している。我々はTPPへの取り組みと同じ姿勢で、RCEPの交渉に臨む」商工相が語ったRCEPとは、米国抜きのアジア・大洋州16カ国で貿易を自由 ………

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