島嶼防衛の兵站を担うUHーXが老体改良機種に。アベノミクス最大の矛盾が露呈した。
2015年10月号 BUSINESS
防衛産業ばかりか、安全保障関係者の誰もがのけぞった。防衛省が7月17日に発表した陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプター「UH-X」の開発事業者選定の意外な結果である。ガチンコの一騎打ち。米ベル・ヘリコプターと組んだ富士重工の既存機種改良案と、欧州エアバス・ヘリコプターと組んだ川崎重工の新規共同開発案である。勝ったのは圧倒的に性能の劣る富士重・ベル連合で、敗れた川重・エアバス連合は「信じられない。防衛省自体があれほど新規開発で最新鋭機種を、と意気込んでいたのに、急に時代錯誤の安上がりな改良機種を選ぶとは」と憤りを隠さない。
防衛省の機種選定はかねて汚職の温床だった。3年前の12年3月、今回と同じUH-Xの開発でいったん川重が防衛省と契約を結んだものの、9月には東京地検特捜部が官製談合として摘発、陸自幹部が処分され、開発はストップした。そのやり直し選定がま ………
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