前財務事務次官 香川 俊介氏

「懐に飛び込む天才」辞表を封印

2015年10月号 連載 [ひとつの人生]

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彼といつ出会ったのか、よく覚えていない。ただ、彼、つまり香川俊介さんをはっきりと意識するようになった出来事は記憶に刻まれている。大蔵省4階の小部屋で、窓を背にした香川さんが分厚い紙の束をくれた。1997年秋の夕暮れ時だったと思う。「こんなものを書いたんだ。感想を聞かせてよ」。紙の束は手書きの論文だった。タイトルは「政治家と官僚――日英比較研究」。香川さんは97年夏までの2年間、英王立国際問題研究所の研究員としてロンドンに滞在、英国政治というプリズムを通じて日本の現状を書いた。全文124ページの大作だ。与党と内閣が混然一体となって国家意思を決めていくという憲法上根拠のない作法。当選回数を重ねれば能力がなくても大臣になれる慣行。大蔵省という権力の中枢に座りながら香川さんが感じていた日本の統治システムへの疑問や反発に強い共感を覚えた。「相手の役所や政治家 ………

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