新幹線の強みは利便性。安全対策を強化したら旅客機に負けるから「安全神話」にすがる。
2015年8月号 LIFE
6月30日、東京発新大阪行きの東海道新幹線「のぞみ」で、男がガソリンをかぶって火を付け焼身自殺した事件は、「安全神話」に酔いしれていた国民に衝撃を与えた。しかしマスコミは、「死亡した男の異常性」や「被害者の交友関係と人柄」といった通り一遍の事件報道に終始している。事件に対し条件反射でしか反応できないから、事件の本質が見えていない。JR東海の柘植康英社長は6日に記者会見し、車両内に監視カメラを増設すると明らかにした。柘植社長は「大きな抑止効果が期待できる」と強調するが、「これでは犯罪を防げない」と、批判が集まっている。そもそも、死を顧みずテロや事件を企む人にとって、監視カメラによる「見張り効果」は通用しない。せいぜい、窃盗事件を防ぐくらいが関の山だ。監視カメラでお茶を濁したつもりだろうが、「事件が起きるまで何もしない」と宣言したに等しい。
マ ………
オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。
FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。