悲劇は裁判官の退廷直後に起こった。神奈川県立循環器呼吸器病センターと執刀医師らは責任逃れに汲々。
2015年5月号 DEEP [患者の無念はいかばかり!]
「あのようなことになり、お悔やみ申し上げます」――3月18日、東京地方裁判所610号法廷で行われた医療事故訴訟で、裁判長は異例のお悔やみを述べた。3カ月前の昨年12月10日、同じ法廷で原告の森本一郎氏(仮名)が急死したためだ。法廷での裁判当事者の死亡は前代未聞だ。森本氏には肥大型心筋症(拡張相)の持病があり、2010年8月、神奈川県立循環器呼吸器病センターでCRT―D(両室ペーシング機能付き植込み型除細動器)を左胸部に埋め込む手術を受けた。ところが手術後に傷口から出血が続いた上、傷口が開き体内のCRT―Dが露出してしまった(写真上)。このため同年9月、同センターは緊急手術を実施、左胸部からCRT―Dを取り出すとともに、細菌感染による壊死層の摘出と排膿、洗浄を行った(写真下)。森本氏は、後述するように、この二つの手術を巡るセンター側の対応に不信感を募らせた。そして3年後の1 ………
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