死と郷愁とITのキメラ

2015年3月号 連載 [いまここにある毒]

たまにはNHKを褒めようか。Eテレで1月から月火に放映している10分間アニメ『わしも』がシュールでいい。朝ドラ『あまちゃん』のクドカン、こと宮藤官九郎の脚本である。「わしも」とは亡くなったおばあちゃんを慕う幼い娘のためにつくられたロボット。ホンダのアシモのもじりだ。顔はブラウン管ディスプレー、頭は丸髷、スピーカーはカタカタ鳴る入れ歯、充電器は仏壇、屁は線香の煙、走れば新幹線より速く、食べ物は工業用オイル……まさに死と郷愁とITが合体したキメラである。が、このおばあちゃんロボ、振り込め詐欺の電話がかかったり、ゲートボールでウルトラCを見せたりと、現代の日常に接してテンヤワンヤ。目鼻はないが、表情も思考もスクリーンに映る。これってロボというよりスマホである。プルーストの『失われた時を求めて』には、草創期の電話で祖母と話すシーンがある。祖母の声だ、と思う ………

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