サウジの減産拒否で、ロシアやイランなど新興資源国は窮地。米国には願ったりで、日本もその恩恵に浴す。
2015年1月号 BUSINESS [原油急落の地政学]
14年の秋口に入ってから原油価格が急落している。秋(Fall)の急落(free fall)だから、「フォール・イン・フォール」とも称する。原油急騰を「オイルショック」というなら、この急落は「逆オイルショック」と呼ぶべき国際経済のどんでん返しだ。米国で取引される代表的な油種であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の相場は12月12日、ついに1バレル=60ドルの大台まで割り込んだ。夏場には1バレル=110ドルも指呼の間だったのだから、今昔の感が強い。今は投げが投げを呼ぶ潰走状態となっている。最も旬な話題は、制御不能な原油安が米国の金融市場を揺さぶっていることである。エクソン・モービルやシェブロンなど大手石油会社(メジャー)の株価が大幅安になっている。それは確かだが、石油メジャーには経営体力もあるし、自己資本も厚い。それよりも深刻なのはジャンクボンド( ………
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