政争の季節「現代の旋毛虫」蔓延

2014年12月号 連載 [いまここにある毒]

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路上に行き倒れ、体液を流す死体。周囲で群衆が叫び、防護服の救急隊員が収納袋で運び去る。ニューヨーク・タイムズが画像で流したリベリアの日常は、死と背中合わせだった。そのエボラ出血熱がスペインやフランス、アメリカにも上陸、世界をパニックに陥れた。ゾンビ映画でお馴染みのパンデミック蔓延による社会崩壊の悪夢が、誰しも胸をよぎった。シベリア流刑のラスコーリニコフが熱にうなされる『罪と罰』のエピローグ。アジアの奥地から新しい微生物、旋毛虫が現れ、この「理性と意志を賦与された聖霊」に感染した人々を発狂させていく夢を見る。自分だけが正しいと信じ、意味もない憎悪に駆られて殺し合い、戦乱と飢饉で人類が滅亡の淵に立つ黙示録だ。恐るべし、ドストエフスキー。組みヒモ状のエボラ・ウイルスは、現代の旋毛虫なのか。疑心暗鬼と憎しみの「疫病」は日本にも上陸している。女性 ………

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