実録・ソニー「追い出し部屋」⑬「近藤部隊」立て籠もりの意地

創業者の井深大は「こいつは生意気な奴だと思っても我慢して使うことだ。すると組織は強くなる」と説いた。異能を集めた A3研究所の解体は、ソニーらしさを否定するものだった。

2014年10月号 BUSINESS [短期連載⑬]

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ソニー人事部を仰天させる事件が起きたのは、2008年春のことのようだ。「ことのようだ」と書くのは、双方の関係者が「事件」について未だにはっきりと語ろうとしないからである。確かなことは、ソニーが偉才や奇人の巣と言われた研究所を解体しようとした際に起き、このリストラに約1​5​0人と言われるエンジニアが異論を唱えたことだ。「彼らは会社の説明会に集まらず、ボイコットして職場に居残った」と関係者は言う。その騒動は、社員たちの間に少しずつ漏れていき、「研究所に集団で立て籠もった」と表現された。会社の箝口令が効果的だったのは、震源地が東京都港区港南の本社ではなく、品川区御殿山の旧本社ビル群の研究所で起きたからである。一帯はかつて「ソニー村」と呼ばれた創業の地で、中枢の事業部が本社の高層ビルに集められた後も一部の社員たちが残されていた。その一つが「3号館」と名 ………

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