巨大ハコモノ利権の「破壊神」復活

2014年10月号 連載 [いまここにある毒]

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ゴジラは戦後日本のトラウマだった。1​9​5​4年に薄暗いスクリーンで見た、東京の夜空を圧する巨大な影と火炎に包まれる街。あの金属音の咆哮には、大空襲の恐怖が投影されていた。幼心にもそれが伝わり、幾晩もうなされた。それから60年、CGで制作された最新の米国版ゴジラも、潜在する恐怖をアップ・ツー・デートしている。前半は原発メルトダウン、後半は9・11の摩天楼崩壊を連想させた。人類の奢りを罰する「破壊神」は今も昔も変わらずで、初代ゴジラも第五福竜丸を下敷きにしていたから、反原発をパニック映画に仕立てたハリウッドの商魂を「あざとい」とは責められない。今や背丈は初代の2倍、1​0​0メートルを超す堂々たる巨神に、もう一つのトラウマが浮上した。ゴジラ誕生の翌年、保守合同で生まれた55年体制と政官一体の「利権メガトン怪獣」が、今また安倍改造内閣のもとで復活してきたのだ。 ………

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