「虎ノ門」で見えた森ビルの憂い

辻社長と森稔未亡人が光を浴びるが、影薄い娘婿の副社長。「亡きカリスマ」の威光どこまで。

2014年9月号 BUSINESS

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およそ2年前、「カリスマ」と呼ばれた経営者、森稔が世を去って以来、最も晴れがましい日を森ビルは迎えていた。6月10日(開業は11日)、森ビルが総事業費2340億円余を投じて東京・港区に開発した「虎ノ門ヒルズ」のオープンセレモニーが華やかに開かれた。政財界から招かれた要人たちを社長辻慎吾、森稔の未亡人佳子が溢れんばかりの笑顔で出迎える。主賓を代表して挨拶に立ったのは首相安倍晋三だった。地上52階建て、高さ247メートルの超高層ビルを褒めそやした安倍は、こう続けて森ビル関係者を喜ばせた。「都市が直面する様々な課題にチャレンジしたこの虎ノ門ヒルズは、新たな都市作りのモデルを世界に示すものであると考えます。官も民もなく、みんなで東京を世界一の都市にしていく。この虎ノ門ヒルズのオープニングが、その素晴らしい幕開けとなることを祈念しています」

見限られた「眠れるトラ」

11年前の4月22日。 ………

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