躓いた「新橋の事件屋」

記憶力抜群の有名人。世田谷案件で一網打尽の目に。

2014年8月号 DEEP [短期集中連載(中)土地の金狼群像]

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「新橋の野口(勝男)」の名は、不動産ブローカーの間で轟いていた。競売物件、事故案件、問題の土地には、いつも顔を出し、うまく立ち回ってカネにする。情報力と資金力はブローカーのなかで抜きんでており、不動産業界で「野口を知らなければモグリ」とまで言われた。その名が、燦然と輝く不動産登記簿謄本がある。世田谷区成城の一等地約100坪。2009年8月5日、ジャスダック上場の建設会社が、大田区に住む野口勝男個人に、極度額1億円の根抵当権を設定している。7月8日、野口は、この土地の所有者である85歳の老人になりすまして1億2千万円の小切手を詐取した「地面師」と呼ばれる詐欺師グループの一員として逮捕された。他の逮捕者は、滝沢雅弘、八重森和夫、染谷俊之、笹井文男、渡辺克己、石井充孝、番野秀雄の7人である。それなりに有名だが、野口の名は突出している。今、野口は小菅拘置所にい ………

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