「住大夫引退」客離れ文楽の命運

客離れの最大の原因は芸の衰退。中堅の奮起と若手の飛躍に期待するほかない。

2014年7月号 LIFE

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人形浄瑠璃文楽の人間国宝、竹本住大夫の引退興行(4月大阪、5月東京)と国立文楽劇場(大阪)の開場30周年記念公演が終わった。天皇陛下のご観劇もあって大いに盛り上がったが、「名人引退後」を憂慮する声も強い。我が国自慢の伝統芸能が岐路に立っている。「引退興行の大入りを手放しで喜んでいられない。反動がどんな形で現れるか怖い」文楽協会の幹部たちの心配は深刻だ。この数年、文楽を取り巻く不安材料は多過ぎる。まず、経営の問題。なにしろ、本拠地である国立文楽劇場(753人収容)での客入りが悪い。年5回の東京公演で、切符の入手に苦労するファンには信じられない光景である。大阪の公演を見る限り、採算が取れる公演とは思えない。しかも、文楽は無類の「金喰い芸能」である。語りの太夫と伴奏の三味線、1体を3人(主(おも)遣い、左遣い、足遣い)で構成される人形遣いの三業で成り立 ………

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