2014年6月号 BUSINESS
長期低迷に陥っているソニーにとって、51歳という若き平井一夫社長の誕生は、何か“変化”を予感させるに十分だった。「現場からソニーを立て直す」就任当時、こう宣言した平井は研究開発の拠点、つまり「イノベーションのソニー」の心臓とも言える厚木テクノロジーセンター(神奈川県厚木市)を中心に、テレビや半導体の製造現場などを訪ねては、技術者たちと会話を重ねた。だが、実際に平井体制で行ったことは“遺産の切り売り”でしかなかった。米国の本社ビルに始まり、テレビ事業が入る東京・大崎のビル、品川の旧本社ビルも手放し、加えて一世を風靡したVAIOブランドのパソコン事業からの撤退も余儀なくされた。しかし、社長就任から3年目。平井はある決断をしたようだ。イノベーションのソニーという金看板を降ろす決断を。「エレキ(エレクトロニクス)だけがソニーじゃない」と話す平井はこうも漏 ………
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