2014年6月号 連載 [いまここにある毒]
嘘とは言うまい。が、口裏合わせの芝居はあったろう。4月のオバマ来日のミステリー――TPP(環太平洋経済連携協定)で日米は「実質合意」したのか「先送り」したのかは、5月2日付朝刊で読売新聞が種明かししてくれた。共同声明を一夜持ち越したため、25日夕刊で「実質合意」と報じた読売以外の新聞は、まんまと一杯食わされたことになる。安倍首相も甘利TPP相も菅官房長官もシラを切り通したが、本音は27日の衆院鹿児島二区補選を恐れての箝口令。牛肉・豚肉で譲歩したと知れたら、豚肉産地鹿児島の猛反発を招くのは必至だからだ。米国側も五十歩百歩。数字公表を渋ったのは、11月中間選挙でオハイオなど畜産農家の多い州の離反が怖いからだ。「オバマは11月まで国内をまとめられない」と麻生財務相が唐突に発言したのも、その内情を示唆したのだろう。外交は内政の裏返し。政治はときに国益を考えて世論 ………
オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。
FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。