西武「再上場」破談の前兆

東証に申請したが、「猛獣」サーベラスと価格のギャップが埋まらない。値が低ければ、またもTOB合戦か。

2014年3月号 COVER STORY ["策士"後藤の綱渡り]

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西武グループが開発した55ヘクタールにも及ぶ鎌倉霊園の一角に、一代で西武王国を築きあげた創業者、堤康次郎の墓がある。左右に二基の唐獅子の石像が立ち、長い石畳の奥に黒御影の墓碑。揮毫は故池田勇人(首相)だ。毎年元旦には、その墓前に西武グループ各社の幹部およそ500人が集まり手を合わせる。元旦墓参を提唱したのは、父の後を継いでグループ総帥となった三男義明だった。毎年、ほとんどそのためにつくったヘリポートに、彼は空からヘリで舞い降りた。いやしくも堤家の恩顧を受けた幹部で、この日に欠席することなど許されなかった。発熱を押して参列し、義明の訓示途中で倒れる人もいたという。ある意味、この壮大な墓は西武グループを象徴する場であった。義明は父康次郎の存在を借りて、自らのカリスマを不可侵とし、グループへの忠誠心を社員に植え付けようとしたのだ。グループ各社から ………

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