2014年2月号 連載 [いまここにある毒]
新春早々、世にも奇天烈な光景だった。95歳の「大勲位」中曽根康弘と87歳のナベツネという“怪物”老人の対談が放映されたのだ。問題は二人の年齢ではない。かつて「国家主義者」と言われた政界風見鶏が「今年は我慢の年になる」と安倍政権の行方を憂え、「多少は我慢しつつ夏にはよくなる」と擁護する読売新聞の渡邊恒雄主筆より厳しかった。集団的自衛権の憲法解釈変更でも「よほど必要がなければ簡単に手をかける問題ではない」とずっとリベラルで、主筆をやんわり諌めたのである。靖国参拝以来、潮目が変わった。私情を自制できない「安倍カルト政権」の慢心に、95歳翁のほうがバランスに腐心している。渡邊主筆との古い仲を思えば、この同床異夢は大きい。観客が「宇宙酔い」になるという3D映画『ゼロ・グラビティ』を見た。冒頭からカメラがカットを挟まず、長まわしで旋回しながら、切れ目なく三人 ………
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