実録・ソニー「追い出し部屋」⑤「使い捨て」駐在員の妻たち

「ソニーは家族主義の会社じゃなかったの?」——。そんな思いが妻たちにはある。ところが、『We are family』と言っていたカリスマ・盛田はとうに亡くなっていた。

2014年2月号 BUSINESS [短期連載⑤]

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フランス北東部に広がるアルザス地方は、宮崎駿監督の映画『ハウルの動く城』の舞台といわれる古都で、首府のストラスブール旧市街は世界文化遺産に指定されている。東にドイツ、南はスイスに隣接し、文化や歴史が交差するヨーロッパの十字路でもある。現地生産主義に舵を切ったソニーは、1986年以来、ここにCDプレーヤーや携帯電話の工場を稼働させていた。ジスカールデスタン大統領の後押しを受けて、「メイド・イン・フランス」のソニー製品を売り出していたのである。その地で品田邦子は、ソニー本社の場当たり人事に呆れ果てていた。そして、人事に従わざるを得ない夫にも腹を立てていた。――どうして、私の人生が会社に振り回されなければならないんだろう。私は会社の持ち物ではないんだ!

「あんただけ帰ればいいじゃないの!」

彼女の夫、品田哲(あきら)は、ソニーの名物エンジニアである。1981年入社で、この連載で紹介したソニ ………

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