実録・ソニー「追い出し部屋」①「流木」エンジニアの逆襲

退職勧奨を受けた中高年社員が打ちひしがれる「追い出し部屋」へ、みずから志願してやって来た長島紳一(54)。彼には「大好きなソニー」から飛び立つ勇気と目論見があった。

2013年10月号 BUSINESS [短期連載①]

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ソニーの名誉会長だった大賀典雄は、口の悪い社員に「我王」と呼ばれていた。大賀の名前をもじったのだが、実際に、王様のような絶対的存在だったのである。彼に「ダメ」と言われたプロジェクトは、エンジニアが泣こうがわめこうがダメになり、逆に彼に認めさせれば、どんな企画も生き返った。怒らせると大賀は、相手が本部長クラスであってもその辺りにあるものを投げつけた。やっと開発したCDチェンジャーマガジンを投げられた幹部もいる。顔は大きく、東京藝術大学声楽科出身の声楽家でもあったから、ライオンのように声が響く。「『ガオー』と吠えるから、我王なのさ」と社員たちは笑いあった。***我王が君臨したのは、東京・品川の御殿山にあった旧本社ビルの最上階である。8階のそこは、急成長するかつてのソニーのシンボルだった。三角の形をしたこのフロアに、長島紳一が足を踏み入れたのは ………

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