政治的思惑で28番目の加盟国にしたが、経済不振に喘ぎお荷物。双方にはや白けムード。
2013年10月号 GLOBAL
旧ユーゴスラビアのクロアチアは、ユーゴ紛争後の混乱を経て10年にわたる辛抱強い交渉の末、欧州連合(EU)への正式加盟を果たした。2007年加入のルーマニアとブルガリアに続く28番目の加盟国となった。7月1日、首都ザグレブの広場では花火が上がり、政治家の思い入れのこもったスピーチが続いたが、祝賀気分もつかのま、一般国民のあからさまな無関心と国境の大混乱で水を差された。同日午前零時過ぎ、バルカンの隣国セルビアやボスニアから来たトラック数百台が国境地帯に滞留し、大渋滞になっていたのだ。EUルールによる越境手続きの準備が間に合わなかったというお粗末さだ。
EU加盟は「クロアチアの諸問題を解決する手段」として推進されてきた。しかし5年連続の不況に喘ぐこの国に“魔法の杖”などあるはずがない。クロアチア経済の脆弱さは枚挙にいとまがない。昨年のGDP(国内総生産)は08年時 ………
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