ブラジル「すべて裏目」のジルマ政権

全土にデモ拡大。経済不調と汚職への不満で、来年のW杯反対論ばかりか、大統領再選まで危うい。

2013年8月号 GLOBAL

  • はてなブックマークに追加

6月30日、サッカーのコンフェデ杯決勝戦に、開催国ブラジルのジルマ・ルセフ大統領(以下、ジルマと表記)の姿はなかった。せっかくの自国優勝の歓喜の場面に欠席したのは、開会式では初めてといっていいブーイングを浴びせられたからだという。すべてはサンパウロ市のバス代値上げから始まった。6月2日に3レアルから3.2レアルへ引き上げられると、反対運動が起きた。当初の参加者はわずか150人。警察の過剰警備が反発を招き、インターネットでの呼びかけに応じる若者がデモのたびに膨れあがった。争点はいつのまにか拡散して、デモはサンパウロから353都市に広がった。「軍政打倒、即時民主化実施」を求めた1984年以来の規模である。実は交通料金の無料化の実現など、要求を掲げるデモ参加者でさえ信じていない。ところが連邦、州、市の政府側が値上げ撤回を決めても、混乱は終わらなかった。

消費、生産、雇用減の悪循環

最大の ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。