「燃ゆる火の山」が世界遺産の吉凶

富士山の優美な姿は永遠ではない。いつ300年の眠りから覚め、噴火するかわからない。

2013年7月号 LIFE

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「出で立てる、富士の高嶺は、燃ゆる火を、雪もち消ち、降る雪を、火もち消ちつつ……日の本の、大和の国の、駿河なる富士の高嶺は 見れど飽かぬかも」。噴煙を上げる富士山を詠んだ高橋虫麻呂の長歌が、万葉集に残っている。富士の高嶺は、古(いにしえ)より日本人の「こころのふるさと」だった。その富士山がいよいよ世界遺産に登録される。 富士山は、言うまでもなく「活火山」である。そこには顔がある。一つは、人々に恵みを与える静穏な山としての存在だ。豊かな森が肥沃な土壌を生み、作物が豊穣な実りを結ぶ。もう一つは、地下のマグマが荒れ狂い、噴火災害をもたらす燃える山としての存在だ。「火山」はかつて、その活動度に応じて3つに分類された。今も活動を続ける「活火山」、噴火していないが噴火の可能性がある「休火山」、もう噴火しないとみられた「死火山」である。今では、この分類 ………

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