シャープは首相官邸の「まな板の鯉」

「アベノミクス」が仕掛ける産業再興のまたとないタマ。法的な準備が整えば包丁を振り下ろす。

2013年7月号 BUSINESS

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財務に関する基本的な知識がある人なら、今のシャープに追い貸しすることが銀行にとって得策でないことは容易にわかるはずだ。にもかかわらず、訴訟リスク(背任)を犯してまでメーンバンクのみずほコーポレートと三菱東京UFJの両銀行がシャープを支える背景には、首相官邸の画策があった。「参院選が終わるまでは潰すな」といった単純なハナシではない。「シャープはアベノミクスの3本目の矢の標的、産業再編の格好のネタ」(経産省OB)だからである。その目論見を明らかにする前に、シャープの危機的な状況をおさらいしてみよう。

「アンコミットの枠を内諾」

まず前期決算によると、大幅なリストラ費用の計上後、相応の自己資本が残ったかに見えたが、単体の自己資本は5789億円から647億円まで激減し、自己資本比率は3%台である。これ以上の赤字計上は債務超過を引き起こすため、逆算して計上できる赤字を出しただけだ。その ………

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