「二兎追う日銀」に株・円乱調

物価上昇と金利安定の矛盾ゆえに、市場のコントロールは綱渡り。成長戦略も拍子抜け、失速懸念が強まった。

2013年7月号 BUSINESS [アベノミクス「憂色」]

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「円安・株高という結果がすべてを物語っている」。それが口癖だった安倍晋三首相が、このところ「市場のことにはコメントできない」と繰り返すようになった。ほかでもない。長期金利が日銀の制御を失い、頼みの日本株が本格的な調整局面に入ったからだ。市場が乱気流を抜け出すことができないと、アベノミクスが失速しかねない。6月7日、安倍政権は土俵際に追い詰められた。日経平均株価が1万3千円をも割り込み、底割れしそうになったからだ。週明け10日には600円余り大幅反発し、愁眉を開いたものの、値動きは極めて不安定だ。7月21日に投開票が予定される参院選に向け、市場動向が政治を左右する「マーケット政局」の様相が強まってきた。

GPIFで「PKO」再来

6月第1週の株安をもたらしたのは、5日に政府が発表した成長戦略が拍子抜けだったからだ。混合診療、労働規制の緩和、農地の大規模化——産業競争力会議のメンバ ………

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