2013年6月号 連載 [監査役 最後の一線 第26回]
「取締役会による経営の監督を一段と強める」。元財務次官の林正和氏が日本取引所(JPX)の取締役会議長に就任する人事を報じた日本経済新聞は、無批判にこう書いた。5年前に林氏が東京証券取引所の自主規制法人理事長に就任した際は「天下り」と批判されたが、今回はまったくと言っていいほど天下り批判は出ていない。だがどうみても、財務省(旧大蔵省)の復権を象徴する人事ではないか。念願の日本銀行総裁ポストにOBの黒田東彦・元財務官を送り込んだ財務省は、かつては同省大物OBの指定席だった取引所トップの座を虎視眈々と狙っていた。林氏が取締役会議長に就いたことで、間接金融と直接金融のトップを握り、悲願がかなったのだ。次官OBが日銀総裁と取引所トップ(当時は東証理事長)に就いたのは1994年からの松下康雄総裁(98年まで)、山口光秀理事長(2000年まで)以来。日本の金融資本市場が ………
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