「インフレ目標」わが23年戦記

黒田日銀の「異次元緩和」でついに大願成就。89年バブル崩壊の号砲以来の茨の道を、高橋洋一教授が語った。

2013年5月号 BUSINESS [高橋洋一vs日銀理論]

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4月4日、黒田東彦日銀総裁のもとで初の金融政策決定会合が開かれ、物価上昇率2%を2年間で達成するために、マネタリーベースを2倍にすると決めた。政策の大転換である。日銀発表文ではマネタリーベースを138兆円から270兆円とするので、1年分でみれば70兆円程度の増加になる。本誌3月号の筆者の寄稿ではインフレ目標2%のために「80兆円のマネタリーベースの増加」とすでに書いており、ほぼ同じ数字だ。日銀の審議委員や事務局は従来とは180度違う政策をあっさり認めた。オセロゲームの黒が一気に白に変わったようで、「白」川日銀から「黒」田日銀へと鮮やかに変化したのである。

営業特金「角谷通達」が発端

だが、筆者には長い道のりだった。日銀の金融政策に最初に疑問を持ったのは、1980年代バブルのピーク時にさかのぼる。当時は大蔵省(現財務省)証券局業務課に在籍していた。日本経済新聞記者が「営業特金」を詳しく取材 ………

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