「言うだけ総理」だった温家宝の虚像

政治改革の訴えはパフォーマンスだけ。庶民派のはずが妻子は金儲けに励んだ。矛盾を残して去りゆく男。

2012年9月号 GLOBAL

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7月23日、北京の共産党中央党校で閣僚級の党幹部を招集した会議が開かれ、胡錦涛(フーチンタオ)国家主席(兼党総書記)が重要講話を発表した。中国政治の慣例に詳しいウォッチャーなら、講話の中身よりもその時期に注目したはずだ。中央党校での重要講話は毎年の恒例行事で、通常なら5月下旬に発表される。ところが、今年はそれが2カ月も遅れた。その理由が、重慶市党委書記の薄熙来(ボーシーライ)が3月に重大な紀律違反の嫌疑で失脚した事件にあるのは間違いない。薄は太子党の大物政治家だった。党の最高意思決定機関である中央政治局常務委員会では、少なくとも5月下旬まで事件の処理をめぐる議論が紛糾したのだ。中央党校での重要講話は、毎年秋の中央委員会全体会議に向けた党指導部の思想統一の基礎になる。しかも、今秋には5年に一度の党大会(18大)が開催され、政権が10年ぶりに世代交代す ………

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