「アサド」を見切るロシアの成算

退陣は必至だが、反体制派にシリアを渡す気はない。「政権移行機関」で激変緩和か。

2012年8月号 GLOBAL

  • はてなブックマークに追加

アサド政権と反体制派の衝突が続くシリア情勢をめぐり、ロシアは2回にわたり反体制派への武力弾圧の停止をシリア政府に求める国連安全保障理事会の決議案に拒否権を発動した。しかしこれでロシアがバッシャール・アサド政権を擁護していると考えたら大間違いだ。第一に、シリアへの武器輸出国であるロシアにとって、中東における真の盟友は、アサド政権ではなくシリア軍である。シリア軍は1957年から現在に至るまで55年にわたり、武器調達や訓練、教育面でロシアに深く依存してきた。世界の国々に対してロシアは声高にかつはっきりと、シリア軍に2003年のイラク戦争終結で崩壊したイラク軍の二の舞はさせないと強調したが、これはシリアに対する北大西洋条約機構(NATO)軍の攻撃もトルコ軍単独軍事介入もロシアは絶対に認めないという意味だ。第二に、シリアはリビアのような国家全体が崩壊する事態に ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。