パキスタン「熟柿」を待つ軍部

最高裁を走狗にして、ザルダリ文民政権を追い詰める。クーデターより暫定政権で采配か。

2012年8月号 GLOBAL

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6月5日、パキスタンは混乱に輪をかける挙に出た。核弾頭を搭載できる巡航ミサイル「ハトフ7」(射程700キロ)の発射実験に成功したと発表したのだ。実験は4月から数えて5回目。同日朝、レオン・パネッタ米国防長官がインドの首都ニューデリーに飛来し、シン首相や国防相と会談するのを絶好の機会ととらえてのこと。落ち込んだ国民感情を盛り上げ、インドに対して「警戒を緩める気はない」と、パネッタ長官に対しては「脅しに屈しない」とのシグナルを送ったつもりだろうが、この日は、パキスタン全土で大規模な計画停電が行われた日でもあったのだ。経済はとうに破綻している。全4州中2州で内戦が続き、国境線周辺地帯では武装勢力との戦闘がやまず、米国との関係はクレーターの穴が空いた状態で、大半の国民はミサイル試射などに目もくれない。

「司法クーデター」

その約2週間後の19日、政治危機がピークに達した。最高 ………

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