保安院新設の省益確保に走り、商業用原発を丸抱え。3・11で霞が関の信を失った経産省の落日。
2012年7月号 POLITICS [ 目を覆う「地盤沈下」]
6月27日。株主総会での承認を受けると、一人の経済産業官僚が東京電力の社外取締役兼執行役として東京・内幸町の本店に乗り込む。原子力損害賠償支援機構事務局長として1兆円の公的資本注入による国有化の実務を切り回した嶋田隆(昭和57年入省)だ。新設の経営改革本部を拠点に、企業再生弁護士で会長に就く下河辺和彦を、知恵袋として補佐。事実上の社長とも囁かれる。東電は「進駐軍のS君」と警戒。国有化批判論者から「経産省お手盛りの天下り」と風当たりも強い。資源エネルギー庁次長の今井尚哉、国家戦略室審議官の日下部聡と並ぶ57年組三羽ガラスの一角の落下傘降下だから経産省支配と考えがちだが、実態は余人を持って代えがたい嶋田の個人技だ。現役出向だが、恐らく本省には戻るまい。嶋田は通産相、官房長官、経済財政相などを歴任した与謝野馨に通算6期も秘書官として仕えた異色の人材。与 ………
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