北朝鮮軍「内紛」とミサイル失敗

人民軍内部で金正覚と金元弘の熾烈な権力闘争。その火種を消すために発射強行で国威発揚か。

2012年5月号 DEEP

  • はてなブックマークに追加

「笑裏蔵刀」あるいは「舌の根も乾かぬうちに」とは、このことを言うのだろう。北朝鮮はさる2月29日、ジュネーブで行った米国との高官会談で、ウラン濃縮活動の停止と長距離弾道ミサイル発射を一時停止することで合意したと発表した。それから2週間余りしか経たない3月16日、故金日成主席生誕100周年にあたる4月15日に合わせて地球観測衛星「光明星3号」をロケット「銀河3号」で打ち上げると予告した。ロケットと核弾頭を運ぶ大陸間弾道ミサイルの技術は基本的には同じで、事実上の長距離弾道ミサイルの発射。結果的に失敗に終わったとはいえ、4月13日には予告通り、北朝鮮西海岸の基地から発射を強行し、あっさり米国との約束を破った。

亡父の威光に頼る正恩

しかし、北朝鮮は「衛星」打ち上げは「米朝合意とは別個の問題だ」と言い張る。外務省報道官は3月23日の談話で、昨年7月以降「3回にわたる米朝高官会談で、一貫し ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。