東電「カタチ偏重」と会長人事難航

2012年5月号 連載 [監査役 最後の一線 第13回]

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駆け出しの記者だった時代、財界人取材で東京電力の会長室に何度か行ったことがある。ドアを開けると、部屋の半分の電気が消えていて、会長自らおもむろにスイッチを入れ、明かりを点けた。二度目の時もそうだった。経営が傾いていたころの日産自動車でも同じような経験をした。カルロス・ゴーン氏がトップとして入ってくる前のことだ。正午になると部屋の電気が一斉に消え、客がいようがお構いなしだった。両社とも、外部の人に日ごろの節電ぶりをアピールしたかったわけではないだろう。だが、何とも言えぬ違和感を覚えた記憶がある。思い返して、ふと「実よりもカタチ」のほうが会社の中で重要になっていたのではないか、と思った。来客があるから明かりを点けておくという臨機応変よりも、とにかく電気は消すという社内ルールを守ること、あるいは守っているという姿勢を示すことが重視される。そん ………

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