「AIJ」を省益拡大の具にするな

2012年4月号 連載 [監査役 最後の一線 第12回]

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年金基金の常務理事の多くが運用の「素人」なのは業界の常識だ。2千億円近い受託資産のほとんどを“溶かした”(消失させた)AIJ投資顧問事件は、起こるべくして起きたと言っていい。そんな「素人」に高リスク運用を任せるべきではないと、年金運用の規制強化論が浮上した。規制強化となれば役所の出番。金融庁も基金を所管する厚生労働省も、ここが出番とばかり腰を浮かしている。厚労省はさっそく「AIJ問題対策特別プロジェクトチーム」を設置。基金の運用体制や今後の運用のあり方について調査・検討を始めた。金融庁周辺からも金融商品取引法で年金基金を「プロ」の機関投資家として扱っているものを、個人投資家並みの「素人」として扱うべきだ、という声が上がる。要は、従業員から預かった貴重な年金資産を、危険な金融商品に投資させるべきではない、というムードなのだ。年金基金には1996年まで ………

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