永田町の影絵芝居 無為より戦え!

2012年4月号 連載 [いまここにある毒]

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ひと昔前、中部ジャワで影絵芝居「ワヤン・クリ」の一座を見た。自家発電の電灯に照らされた仄暗い幕の前で、夜を徹して人形師が語るマハバラタの壮大な劇。須弥山グヌンガン、英雄アルジュノ、魔王ラウォノ、美女ロロ・イルン、そして数々の羅刹(ラクササ)たち……水牛の革製の透かし彫り人形が夢魔のように乱舞していた。永田町でも野田佳彦総理と谷垣禎一自民党総裁の「密談」という影絵芝居が演じられた。操るのはどうせ財務省だろうが、いかんせん、増税法案成立と話し合い解散のバーターでは、ハシズムの影に怯えた打算ばかり。実はたった10分間、双方とも本題を切り出せなかったとか。四の五の言わず、戦え! と言いたい。ワヤンの見せ場は決戦バラタユダの場だ。インドの聖典『バガヴァッド・ギーター』では、流血淋漓(りんり)に逡巡するアルジュノを、クリシュナ神の化身が「戦え!」と鼓舞 ………

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