剣が峰の日本経済。金融当局は事後処理的対応、匍匐前進、逐次投入の「遺伝子」と訣別し、大胆に行動する時だ。
2012年1月号 POLITICS [特別寄稿]
福島第一原発事故を受けて、日本政府は半径20㎞圏内からの住民退避を指示。一方、米国政府は半径50マイル(約80㎞)圏内からの自国民退避を勧告。日米政府の対応の違いがクローズアップされた。大規模事故や核攻撃に伴う退避区域を半径50マイル圏内と定める米国エネルギー省及び国防総省のマニュアルに従った決定であったが、日米政府の対応の差には両国の体質の違いも影響している。すなわち、予防的観点から大胆かつ先行して行動する米国に対し、事態の推移を見ながら事後処理的観点から対症療法的に行動する日本。匍匐(ほふく)前進、戦力の逐次投入という日本の伝統的な体質である。こうした傾向は他分野にも共通する。マクロ経済政策も例外ではない。1990年代以降の不良債権処理や金融危機において、事後処理的、匍匐前進、逐次投入的な対応によって事態を深刻化させた「日本の失敗」――。2008年リ ………
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