2011年9月号 DEEP [ディープ・インサイド]
政府は福島第一原発から30キロ圏内に設定された緊急時避難準備区域の解除を急ぎ、除染作業により20キロ圏内の警戒区域にも住民を戻そうとしている。避難住民は元の生活に戻りたいと願うが、政府の方針どおり進むのか。元の生活は過去の記憶であり、もはや戻れない夢の世界ではなかろうか。原発事故の避難者は約7万人とされ、そのうち南相馬市民が9千世帯、3万5千人。同市からの脱出が半数を占める。原発とは縁がなく、恩恵を受けていなかった南相馬の住民が一番ひどい目に遭っているということだ。7月中旬、南相馬市から避難市民へ一通の文書が届けられた。原町区を中心とする緊急時避難準備区域の住民への「帰還要請」だったが、立ち入りさえも禁止されている警戒区域(小高区など)の市民から反感を買う結果になった。原発に近い警戒区域の住民は110もの自治体に避難し、市当局から支援どころか、情報 ………
オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。
FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。