鉄道省の傍若無人に、民衆の怒りが全土で爆発した。「開発独裁」の暴走と腐敗は、共産党政権の縮図だ。
2011年9月号 DEEP [共産党「負の遺産」]
7月23日午後8時34分、浙江省温州市郊外で発生した高速鉄道(中国版新幹線)の追突脱線事故は、中国の鉄道事故史上最も民衆の怒りを買い、共産党政権の威信を失墜させた事件として記憶されるだろう。雷雨の影響で高架上に停車していた杭州発福州行きD3115列車に、北京発福州行きD301列車が時速100キロ以上で追突。D301は先頭から4両が脱線して高架から転落し、D3115も後ろから2両が脱線、大破した。中国鉄道省の公式発表による死者は40人、負傷者は200人余りに上る。原因は、信号制御システムのプログラムに重大な欠陥があり、そこに落雷による設備故障が重なったためとされる。だが、中国の高速鉄道が欠陥を抱えている可能性は以前から指摘されていた。この事故の際だった特徴は、むしろ鉄道省の“事後処理”に対して民衆が激しい怒りを爆発させたことにある。
事故発生後、鉄道省は生存者の捜索をわず ………
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