内田百閒日記と摩阿陀会

まアだだよ、の祝宴の記録

2011年8月号 連載 [日記逍遥 第31回]

  • はてなブックマークに追加

「この糞ぢぢい、まだ生きてゐるかと云ふのが今晩の摩阿陀会です。まアだかいとお聞きになるから、私はまアだだよ、とかうして出てまゐつたわけであります」(「摩阿陀会」)黒澤明監督作品『まあだだよ』で知られる摩阿陀会の最初の集まりで、内田百閒はそう挨拶した。その日の日記は次のように記されている。「今日は誕生日也。去年、還暦を祝つてくれた日本橋七瀬の会と虎ノ門晩翠軒の会とが一緒になりて今夕、新宿武蔵野ビヤホールにて摩阿陀会をしてくれる」(昭和25年5月29日)七瀬の会は24年の初夏に開かれた。「運輸省へ行き平山と日本橋の七瀬へ行く。中村平山発起の鉄道関係の還暦祝賀会也。会する者十人…お祝の赤ネクタイを貰つた」(6月6日)中村武志はのちに目白三平シリーズによって人気作家となり、平山三郎は百閒の阿房列車シリーズにヒマラヤ山系として登場する。還暦の祝宴はもうひと ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービスです。年間定期購読をご契約の方は無料でご利用いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※ご利用いただけるサービスは購読コースにより異なります。詳しくはこちらをご覧ください)。