米パ「離間」につけこむ北京

2011年7月号 連載 [手嶋龍一式INTELLIGENCE 第63回]

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「ふたつの国家を行き交うの質は、両国の間柄の良し悪しを映す格好の鏡となる」永く香港を拠点にアジア情勢を見続けてきたひとが問わず語りに漏らした警句だった。アメリカのオバマ政権が実施したオサマ・ビンラーディン捕捉・殺害事件に触れ、この出来事をきっかけに中国はパキスタンとの接触を密にし、一方のアメリカはアジアでの影響力を弱める分水嶺になるかもしれないと指摘した。冷戦の時代から米中関係を見続けてきた体験がそう教えているのだろう。このひととは欧州で冷たい戦争が終わりつつあった頃に初めて出会った。名刺の肩書には小さく「ライター」と記してあるだけだった。裏に書いてくれた連絡先が香港のヴィクトリア・ピークだったことをいまも覚えている。ロンドンで発行される新聞や雑誌にアジア情勢の記事を書いていると言っていたが、名刺に刻まれた名前では見かけたことがない。皇 ………

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