経産省は東電温存、財務省は庭先掃除で思惑一致。株主や金融機関への返済を優先して国民をないがしろ。
2011年6月号 BUSINESS [重い国民負担]
こんなバカげた話はない。東京電力の福島第一原発で起きた事故の処理は遅々として進まないのに、損害賠償はやけに急ピッチに検討され、5月13日に枠組みが関係閣僚会合で決定された。だが、政治主導どころか、経済産業省と財務省が手を組んだ「やりたい放題」の構図が透けて見える。4月半ば、新聞が一斉に政府原案(図1)を報じた。経産省のリークだろうが、中身は賠償に備える「原発賠償機構」(仮称)を新設し、賠償の財源は国が拠出する交付国債や金融機関からの融資で賄うものだ。「賠償が完全に行われるよう賠償額の上限を定めない代わりに、電力の安定供給のため国は東電に資金援助する。ただし、東電の収益で返済し、最終的には財政負担を発生させない」というのが政府の触れ込みである。一見複雑そうだが、マスコミは新機構や勘定などの仕組みに目を奪われて、本質を見失っている。要は「誰が負 ………
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