「大法螺」と呼ばれた警鐘
2011年5月号 連載 [日記逍遥 第28回]
東京は銀座数寄屋橋の交番の脇に、たいまつを高く掲げ、獅子をしたがえた兜姿の青年の像が建っているのをご存知だろうか。関東大震災の10周年にあたる昭和8年に、震災共同基金会によって建てられた記念塔で、台座には「不意の地震に不断の用意」との標語が彫られている。作者は長崎の平和祈念像で知られる北村西望、かつては数寄屋橋交差点を見守るように角のビルの前に置かれていた。震災共同基金会は昭和2年から、街頭で大震災の募金を行っている。もともとは震災1年後の大正13年9月1日に、同愛会と東京婦人連合会の共催、朝日新聞社後援のもと、青年団などが協力して募金を実施したことに始まる。集まったお金は、被災地への義援金や地震研究の補助金、地震知識普及の費用にあてられていて、記念塔もその一環として建立された。基金会結成を呼びかけたのは有馬頼寧だが、実際の活動において中心とな ………
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