編集後記

2011年4月号 連載

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君はあの日あの瞬間、何をしていた? 3月11日はそんな僕らの共通体験になるだろう。これから無数の機会にふと口にする日付になる。アメリカ人にとっての「9.11」、日本人にとっての「3.11」――揺れが始まった瞬間、私はちょうど創刊5周年になる本誌60号の編集中で、電話で応対していた。思わず相手に「ちょっと待ってて」と叫んだ。▼古いビルの6階のせいか、揺れが大きい。背中の本棚から本や書類が滑り落ち、キャビネットが躍る。何かが倒れる音。ガラスが割れた。非常階段の扉が開け放たれる。立っていられない。天井から何か落ちてきそうだ。机の下に潜りこむ。長い揺れがつづき、ようやく弱まった。電話は切れていた。余震でまた揺れる。ニュージーランドの地震で残骸と化したビルが頭をよぎる。やむなくビルの前の神社そばに避難した。▼目前でビルが撓(しな)り、電線が波打っても、日常の慣性と ………

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