政治統合進めぬ「ユーロ」危うし

「加盟国の債務不履行容認」の根本的矛盾。寄せ木細工の経済政策では早晩行き詰まる。

2010年12月号 GLOBAL

  • はてなブックマークに追加

1999年1月1日に創設された欧州単一通貨ユーロは、経済史上でも最大の実験の一つであった。欧州連合(EU)加盟国の人々は、EU全体の金融政策を担う欧州中央銀行(ECB)を設立する一方で、税制や公共支出などの財政政策は共通の規律の下で各国政府が担う体制とした。そしてユーロ導入から10年間この体制は順調だった。ギリシャ財政危機に端を発した金融市場の混乱で問題が発生するまでは――。99~2004年に欧州委員会委員長としてユーロ導入に関わったロマーノ・プローディ氏(前イタリア首相)は「ユーロの導入開始時点で、遅かれ早かれ危機的状況に陥るだろうと誰もが予想していた」と述べていた。それでも前委員長は(危機を回避するために)欧州各国は手を取り合い、政治的結束を一層強めていくだろうと考えていたのである。

外れたプローディ予想

だが、今回のユーロ危機でこの「雨降って地固まる」の予想はみごとに外れた ………

ログイン

オンラインサービスをご利用いただくには会員認証が必要です。
IDとパスワードをご入力のうえ、ログインしてください。

FACTA onlineは購読者限定のオンライン会員サービス(無料)です。年間定期購読をご契約の方は「最新号含む過去12号分の記事全文」を閲覧いただけます。オンライン会員登録がお済みでない方はこちらからお手続きください(※オンライン会員サービスの詳細はこちらをご覧ください)。